「約束」-02 ------------------------------------------------------------------------ 家に戻って風呂に入って食事をする。 いつもと何も変わらない。 カイトの料理の腕は相当上がり、いつものように手際よく 準備をしたし、ジンも変わらず「旨い」と言ってそれを平らげた。 2人が同じベッドで眠るようになったのは、自然といえば 自然な成り行きだった。 家の2階には部屋が2つしかなく、1つはジンの雑多な持ち物で 埋め尽くされていた。 もう一部屋は、朝日の差し込む気持ちの良い部屋だが 広くはなく、ダブルのベッドが1つ入っていっぱいだ。 初めのうち、カイトは広いリビングの片隅に物置から出してきた 折りたたみベッドを広げて眠っていた。 几帳面に毎朝折りたたんでリビングの壁に寄せておく。 「折りたたみベッドは背骨に悪いんだがなー。 その内新しいのを買って、リビングを仕切ってもう1部屋作るか・・・」 そんな風にジンは言っていたが、実際には2人して世界中のあちこちを 飛び回る日々。家に帰るたびに新しいベッドを購入するのを 忘れていたのを思い出す。 そしてある日、疲れきって帰宅したカイトはベッドを出そうと思っているうちに ソファで眠り込んでしまった。 朝目覚めると、そこは寝室のベッドで、隣にはジンが背中を向けて眠っていた。 ちょっと驚いただけで、別に嫌な感じはしなかった。 だたジンさんに手間をかけたと反省し、夜になってまた 折りたたみベッドを引っ張り出してると 「もーそれ使うな。 パイプがガタガタで体に良くない。上で寝ろ」 「でも、邪魔じゃないですか?」 「・・・・お前は?」 「俺は別に・・・。寝つきはいい方だし」 「寝つきの良さなら俺の方が上だ。気にすんな」 ・・・俺は寝付きでも、ジンさんに敵わないんだなー。 カイトはそう思いながら階段を登り、その日からずっと同じベッドで 眠っているし、今日もそれは変わらなかった。 →Next ------------------------------------------------------------------------ ブラウザ back