「本当にバカバカしいジンカイ童話」-02
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「美しい少年よ。何をそんなに慌てておるのじゃ?」
「あっ、あなたは‥‥‥‥えぇぇぇぇっと、あー‥‥‥‥女神様?
(歳の感じから言って天使や妖精って感じじゃないよな‥‥。
‥‥ナマズの神様かな?)」
「ふむ。容姿も愛らしければ言う事も愛らしい。わらわはこの森と湖を
司る管理人じゃ。そのストリップも目の保養じゃの‥‥えへえへ。
褒美にそなたの困りごとを解決して進ぜよう」
「本当ですか!?じゃあこの湖に落っこちたジンさんを助けてください!」
「あの男はジンサンというのか(変な名前‥‥)。
下女が全員孕まされる前に追い返したいのは山々じゃが
お約束は守らねばなるまい‥」
「‥‥‥?」
「では問うが、お前が落っことしたジンサンは、次の2つの内どっち?
1、品行方正で紳士なジンサン
2、弟子を相手に青姦を企むエロ親父のジンサン
さぁ、答えてみよ」
「‥‥‥‥‥‥‥;」
「どうした少年よ、答えられぬのか?」
「いえ、あー‥‥‥‥‥‥;;」
「うむ?」
「ちょっと時間もらっていいですか?少し考えたいんですけど」
「ちょっとって、どれくらい?」
「出来れば3時間くらい」
「3時間‥‥(そんなにあの男に居座られては、来年の今頃は
湖の底は出産ラッシュじゃ;)‥‥もう少し短くならんか?」
「じゃあ、一時間でいいです」
「いいだろう。努々疑うことなかれ」
女がそう言うと、あっという間に霧もその姿も消え去りました。
家に向かって急ぎながら一生懸命カイトは考えました。
どう考えても1番は引っ掛けだ。俺のツボを読んでいる。
そりゃあ帰ってきたジンさんが品行方正な紳士になってたら嬉しいけど
彼女は"どちらのジンサンが良いか?"と聞いたわけじゃない。
"湖に落っこちたのはどちらのジンサンか"と真実を聞いてきただけだ‥‥。
カイトは家に帰りつくと本棚から一冊の本を取り出しました。
赤いビロードに金の装飾の美しい表紙には「金の斧 銀の斧」と書かれています。
パラパラと頁をめくり、やがて確信を得た表情でカイトは深く頷きました。
やっぱりだ。
俺は彼女の前で真実を言うしかない。
たとえエロ親父全開でも、ジンさんが居なくなったら俺は‥‥‥
カイトは意を決し、本を棚に戻すと大急ぎで湖に取って返しました。
「少年よ、答えは出たかの?」
「はい! 2番の"弟子を相手に青姦を企む変態でエロ親父全開の存在自体が
どうしようもなく猥褻で欲情に満ちてるジンサン"でお願いします!」
「微妙に回答が長くなっているようだが‥‥まぁいいでしょう。大正解っ!!
正直者の少年にジンサンを返して進ぜよう」
ばぉ―――ん!!
派手な音と共に辺りに白い煙が立ちこめ、気が付くと目の前に呆けた顔の
男が座り込んでいました。
「ジンさんっ‥‥!」
少年は喜びの余り、男に抱きつきました。
その時、プンと鼻につく脂粉の香り。
「ジンさん‥‥? 湖の底で何を‥‥」
「あぁうん、それがキレイな所でなー。一日があっという間に過ぎちまった」
(‥‥一日? ジンさんが落っこちてから一時間しか経ってないのに)
「綺麗な音楽が流れてて、鯛や平目がこう、ヒラヒラと舞い踊ってだな」
(‥‥なんか微妙に他の話が交じってるような;;)
「美味い食い物や酒がいっぱい出てきて‥‥」
「‥‥はい、それで‥‥?」
「若いネーチャン達とヤリたい放題だったv」
「‥‥なっ‥っっ!!! 人が必死で心配してる間に‥‥‥‥ひどいっ‥‥‥!」
「ハッ!しまっ‥‥わわわっ!!お、落ち着けカイト‥‥っ!!!」
「これが落ち着いて‥‥られ、って、うわっ‥‥わ――――っ!」
坊ちゃんっ!
欲望に目が眩んでいる時よりも、湖の底で丸一日ヤリたい放題に
過ごした後の方が遥かに身が軽い男は紙一重で少年の拳をかわし、
今度は空振りした少年が勢い余って湖に落ちてしまいました。
「あぁ!カイト――――っ!」
男が飛びこもうとすると、すぐに辺りに霧が立ち込め
現れた女は男を見るなり溜息をつきました。
「またお前か‥‥‥」
「お、アンタか!さっきは世話ンなったな。今度はガキが一人行っただろ。
男日照りの女どもに手篭めにされる前に返してくれ」
「‥‥こンの男は‥‥‥っ!」
「青筋立ててどうしたんだ? 皺が増えるぜ?」
「くっ‥っ!いつかブッ殺す‥‥!!
しかしお約束はお約束‥‥仕方が無い。少年を返して欲しくば(返したくないけど)
私の問いに答えなさい。お前が落っことした少年は次の2つの内どっち?
1、正直者で賢いカイト君
2、裸エプロン姿のカイ‥」
「2番でっ!!v」
ばぉ―――ん!!
男が即答するや否や、派手な効果音と共に女の姿が消え行きます。
「やーいやーい、引っかかったーっ!大嘘つきのお前には、カイトは
返してあげないよーっ!バーカバーカっ!思い知ったかザマーミロッ!」
「‥‥んだとぉ!?このアマ‥‥って、ちょっ待っ‥‥‥!!
今の無しっ!!!もう一回‥‥‥‥」
男は必死で叫びましたが、その声は空しく森に木霊して、二度と女の姿は
現れませんでした。
「俺はただ‥‥‥アイツの真っ白い肌の上に桜が舞い落ちるのを
見たかっただけなのに‥‥‥‥」
後には湖の淵に手をついて、呆然と呟く男の頭上に
月が輝くばかりだったとさ。
とっぴんぱらりのぷぅ
end. (040617)
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